【完全ガイド】DV(ドメスティックバイオレンス)の定義と7つの暴力タイプ | 専門家が解説
監修:服部(Hattori)
「俺は手を上げたことは一度もない。だからDVなんて関係ない」
そう確信を持ってお話しされる方が、私たちの更生プログラムには数多くいらっしゃいます。しかし、パートナー(妻)側の話を聞くと「毎日が怖くてたまらない」「息が詰まるような支配を受けている」と訴えられるケースが後を絶ちません。
こんにちは。名古屋市を拠点に、全国オンライン対応でDV・モラハラ加害者の更生プログラムを提供する「Respect Shift(リスペクト・シフト)」です。
この認識のズレはどこから来るのでしょうか?それは、DV(ドメスティック・バイオレンス)の定義を「身体的な暴力」だけに限定してしまっていることに原因があります。
DVの本質は、殴る・蹴るという行為そのものではなく、「力と支配(Power and Control)」によって相手を意のままに操ろうとする関係性にあります。言葉、お金、態度、そしてデジタルツールを使って相手をコントロールすることも、立派なDVなのです。
この記事では、意外と知られていない「7つの暴力タイプ」について徹底解説します。ご自身の行動を客観的に見つめ直すためのガイドとしてお使いください。
目次
DVの本当の定義:「外的コントロール」とは何か
一般的にDVとは「配偶者や恋人など親密な関係にある(またはあった)者から振るわれる暴力」を指します。しかし、ここで言う「暴力」は刑法上の暴行罪よりも広い意味を持ちます。
内閣府や専門機関では、DVを単なる喧嘩ではなく、「対等であるはずの関係において、一方が他方を力で支配し、コントロールしようとする構造」と定義しています。
心理学で見るDVの正体
選択理論心理学では、DVの根底にある心理を「外的コントロール(External Control)」と呼びます。これは、「私は相手を変えることができる」「相手を思い通りに動かす権利がある」と信じ、そのために批判、責め、文句、脅し、罰といった手段を使うことです。
この「相手をコントロールしようとする意図」がある限り、たとえ手を出していなくても、その関係性は暴力的と言えるのです。
見逃してはいけない「7つの暴力タイプ」
DVには多様な形態があります。以下の7つのタイプを知ることで、見えなかった暴力が見えてきます。
最も分かりやすい暴力です。怪我の有無は関係ありません。
- 殴る、蹴る、平手打ちをする
- 髪を引っ張る、首を絞める
- 物を投げつける、壁やドアを殴って穴を開ける(威嚇)
言葉や態度で相手の心を傷つけ、自尊心を奪う行為です。モラルハラスメント(モラハラ)とも呼ばれます。
- 「誰のおかげで飯が食えるんだ」と罵倒する
- 「お前はダメな人間だ」と人格を否定する
- 長期間の無視(サイレント・トリートメント)
- 人前でバカにする
お金をコントロールすることで、相手の自由を奪う行為です。
- 生活費を渡さない、または極端に少なくする
- 妻が働くことを禁止する、辞めさせる
- 妻の貯金を勝手に使う
- 買い物のレシートを細かくチェックし、責める
夫婦間であっても、同意のない性行為は暴力(性犯罪)です。
- 性行為を強要する
- 避妊に協力しない
- 相手が嫌がるポルノビデオを無理やり見せる
- 「妻の務めだ」と言って応じさせる
相手を社会から切り離し、孤立させることで支配を強める行為です。
- 実家や友人との付き合いを制限・禁止する
- 外出を制限する、外出先を執拗にチェックする
- 「あいつらはお前の悪口を言っている」と嘘を吹き込む
子どもを巻き込んで相手を追い詰める行為です。これは児童虐待(面前DV)にも該当します。
- 子どもの前で妻を罵倒する、暴力を振るう
- 「母親失格だ」と子どもの前で言う
- 「ママのようになるな」と子どもに吹き込む
- 子どもを取り上げると脅す
スマートフォンやGPSなどのデジタル機器を用いた監視・支配です。
- スマホのパスワードを教えるよう強要する
- GPSアプリで居場所を常に監視する
- SNSのやり取りをチェックする
- LINEの返信が遅いと激怒する
なぜ、殴らなくても「暴力」になるのか?
ここまで読んで、「スマホを見るくらいで暴力なのか?」「夫婦でお金の管理をするのは普通ではないか?」と疑問に思った方もいるかもしれません。
重要なのは行為そのものよりも、その背後にある「目的」と「影響」です。
もし、あなたの行動によってパートナーが「恐怖を感じて萎縮している」「自分の意見を言えなくなっている」「常に行動を監視されていると感じている」のであれば、それは相手の人権を侵害しており、暴力(支配)となります。
「愛しているから心配なんだ」という言葉で、相手の自由を奪っていませんか?それは愛ではなく、執着と支配かもしれません。
あなたは大丈夫?DV加害チェックポイント
以下の項目に心当たりはありませんか?一つでも当てはまる場合、あなたの家庭では「見えないDV」が進行している可能性があります。
- □ 妻が自分の意見に反論すると、無性に腹が立つ
- □ 「誰が養ってやっているんだ」と言ったことがある
- □ 妻のスケジュールや交友関係を全て把握していないと気が済まない
- □ 機嫌が悪くなると、何日も口をきかないことがある
- □ 大きな音(ドアを閉める音など)を立てて、威圧したことがある
- □ 妻が自分に対してビクビクしているように見える
まとめ:気づいた時が変わるためのスタートライン
もし、この記事を読んで「自分はDVをしていたかもしれない」と気づいたなら、それは非常にショックなことかもしれません。しかし、同時にそれは「関係を修復できる最後のチャンス」でもあります。
DVは「治らない病気」ではありません。適切な知識を学び、外的コントロールを手放すトレーニングを行うことで、暴力のない対等な関係を築き直すことは可能です。
私たち「Respect Shift」は、加害者を責め立てるのではなく、なぜそうなってしまったのかを共に考え、変わるための具体的な技術を提供するプログラムです。
その「支配」を「尊重」へ変えませんか?
家族があなたの顔色をうかがうのではなく、心から笑い合える家庭を取り戻すために。
一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください。
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この記事の著者:
主催者 S.Y
DV加害更生プログラムのプロフェッショナルとして活動している主催者。DVに関する法律、行政の施策について弁護士、自治体等と積極的に情報交換をしている。